CEDEC 2010 一日目

フリーになってからCEDECには自腹で参加している。去年は一日だけの参加だったのだけれど、今年は思い切って三日間全部の参加にしてみた。一日だけの参加だと、どの日を選ぼうか迷ってしまう。うだうだと迷って時間を無駄にするぐらいだったら、もういっそのこと、三日間フル参加を義務として自分に課してしまうのがいいんじゃないかと考えた次第だ。

一日目から聴きたいセッションが重なってしまい、どれを受講しようか迷うことがあった。迷いながら選んだセッションの中でも、個人的に最も興味深い内容だったのは、スクウェア・エニックスの塩川さんと松澤さんによる「はじめての日米共同開発 〜日米両国でのディレクション経験を通じて得た、たくさんの気づき〜」だった。

日本人が何となくイメージする「欧米的な開発スタイル」のイメージと、その実像との間にあるギャップを、3つの項目にまとめて簡潔に解説していた。これは単に共同開発の際に役立つ知見であるというだけでなく、日本の現場が単独で海外志向タイトルの開発を行う際にも役立てることのできる知見であったと思う。

特に「ビリーバブル」(believability)という言葉は、向こうの嗜好を理解するにあたって重要なキーワードだと思う。彼らが求めているのは「リアルであること」ではなく「ビリーバブルであること」、つまり「それが作品の中において信じられる・説得力を持つものであるという感覚」なのである、と。これだけで全てが片付くわけではないけれど、最も重要でありながら、最も勘違いされることの多い点であると思う。

もうひとつ、メディアクリエイトの細川さんによる「次なる高みへ。ゲームビジネスの近未来像」も興味深い内容だった。実は僕は遅刻してしまい途中からの受講だったのだけれど、それでも十分に参考になる話を聞くことができた。ソーシャルゲームユーザとコンシューマゲームユーザ(現役ユーザー・元ユーザーを含む)の間にある関係性の分析を見るのは、僕は初めてのことだった。今後さらに詳しい分析が行われるようであれば、ぜひそれを見てみたい……と思わせられてしまうのは、さすがは商売上手と言ったところなのか。