近くと遠くで違う画像


Squaring the Diamond - Illusion Sciences

上のリンク先のページにある画像は錯視の一種。普段PCを使っている距離から見ると,ただ縞模様の菱形が並んでいるだけの画像に見える。ところが,ディスプレイから顔を離して遠くから眺めてみると……不思議なことに,別の模様が見えてくる。

僕はちょっと目が悪いから,ディスプレイから 1m ぐらい離れると,もう完全に「別の模様」しか見えない。視力のいい人や,眼鏡・コンタクトを着用している人だと,もう少し離れないとダメかもしれない。

しかしなぜ,距離によって見え方が変わってくるんだろう? ブログ Illusion Sciences の Arthur Shapiro によれば,これは,人間の眼が近くにあるものしか細部を見ることができないためであるとされている。

件の画像の横縞は,比較的はっきりした模様として描かれているのに対して,縦縞の方は,非常にぼやけた感じで描かれている。こんなふうに「横縞ははっきりで,縦縞はぼんやりだな」と感じられるのは,画像を近くから見ているときだけで,十分に離れたところから眺めると,横縞も縦縞も同じぐらいぼやけたものに見えてしまう。それで,両者の境界が消えて,ひとつの繋がった模様のように見えてきてしまうというわけ。

原理としてはとても簡単なものだけれど,人間の視覚の前提にある法則(「ぼやけたものは,近寄ればはっきりと見えてくるはず」)を,巧妙に破っているところが面白い。「菱形」と「四角」が切り替わるギリギリの距離で頑張ってみると,奇妙な感覚に陥ってくる。気を張って凝視すれば菱形が見えるんだけど,ちょっと気を抜いたり瞬きをした瞬間に,それが四角に戻ってしまったりするんだよね。

MIT の Aude Oliva は,同類の錯視を利用した面白い画像のギャラリーを公開している。例えば,「近くで見るとアインシュタイン,遠くで見るとマリリン・モンロー」なんて,どう?