Laurie Spiegel Playing 1977 Bell Labs Hal Alles Synth

楽家でありアルゴリズム作曲の研究者でもある Laurie Spiegel による即興演奏の映像。この映像は 1977 年に収録されたもので,演奏に使用されているのは,ベル研究所によって作られた LSI-11 というシンセサイザー。このシンセサイザーは,恐らく世界初の「リアルタイムに演奏の可能なデジタルシンセサイザー」であり(当時はシンセサイザーと言えばアナログが一般的),中身は 16-bit/30kHz の DAC と多種の合成回路を備えたコンピューターシステムとなっている。詳しいスペックについてはここで見ることができる。結構いいスペックなのは驚き。ただ,今なら手のひらサイズで同じことができるけれども……

Spiegel はこのシステムのために自分でプログラムを組み,自身で演奏を行っている。ずらっと並んだスイッチやスライダーの類を忙しなく操作する様は,まるで宇宙船を操縦するオペレーターのようだけれど,その様子も含めてパフォーマンスとして成立していると思う。

個人的には,鍵盤や弦を弾いたり,太鼓を叩いたりするだけが演奏ではなく,スイッチやスライダーの操作も演奏としての面白さがあると考えている。そして,そういった「操作する演奏」の歴史を遡っていくと,恐らくこの辺りの実験音楽が源流としてあるのではないかなと思う。