What's wrong with CS research

Mencius Moldbug, What’s wrong with CS research

彼がコンピューター・サイエンスの研究を無価値だと考えていることは,よく分かった。それじゃあ逆に,価値あるものを生み出すにはどうすればいいと考えているんだろう?

面白くて,カッコよくて,意義のあるソフトウェアを生み出すための,唯一のうまくいくシステムがあるってことは,もう分かりきっている。賢いプログラマー集団を見つけてきて,ある広大な問題空間を指し示してやる。その問題空間には本当のユーザーがいて,そのうえ,新しい解決法が古い思想によって制約を受けないようになっていればいい。

物事に価値があるかどうかを客観的な視点から評価することができるのは,ユーザーだけだ。ユーザーがいなければ,物事に価値など与えることはできない。これは極論だと思うけれど,もしその極論を受け入れるなら,純粋にアカデミックな研究――つまり,研究者を相手にした研究などは,とうてい無意味なものであるという結論に辿り着くだろう。

物事の進歩は小さな改良の積み重ねによって起こるものなのに,新たな価値が創出される瞬間というのは,そういった加算的な進歩の流れからは外れた飛躍が発生する。というか,発生しなければならない。ただそれは,必然的に発生する進歩とは別で,大いに偶然性の絡むものであるように感じられる。ダメなときはダメってことを受け入れなきゃならないってことだよ。

(via Raganwald)