画像処理でボコーダーエフェクト

Photosounder は,いわゆるスペクトル編集ツールと呼ばれる類のソフトウェアだ。音声データを周波数スペクトルに変換したり,逆にスペクトルを音声に戻したりすることができる。

スペクトル編集ツールを使うと,波形の直接編集では難しい類の加工を,直感的かつ視覚的に行うことが可能になる。上のビデオなどはその極端な例で, PhotosounderPhotoshop を使ってボコーダーエフェクトを実現している。

ボコーダーエフェクトの原理はそれほど複雑なものではないけれど,口で説明するのはなかなかやっかいだ。でも,このビデオで行っていることを見ると,多少なりとも直感的に理解することができるかもしれない。音声(モジュレーター信号)と楽器音(キャリアー信号)をスペクトル画像に変換したあと,それを Photoshop のレイヤーに貼付けて,「乗算」で合成する。それだけの作業で,いわゆる「ロボットボイス」が完成する。本物のボコーダーで行っているのも,これに近いことだ。

ちなみに,本物のボコーダーPhotosounder ほどスペクトル解像度が高くない。ボコーダーサウンドの「ロボっぽさ」はスペクトル解像度の低さ(バンド数の少なさ)から生まれるという側面もあるので,それっぽいサウンドにしたければ,わざと解像度を落とした方がいいかもしれない。上のビデオでも,画像を合成する前にブラー(ぼかし)を使って縦方向の解像度を落とすという作業を行っている。