書籍:統計はこうしてウソをつく

統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門

統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門

仙台行きの間,空き時間を潰すために持って行った本。

内容は,誤解を恐れずに言えば「文系的な統計リテラシー入門書」とでも呼べるようなもので,数式等は一切登場しない。誤った統計の背景にある人々の心理や手法的な欠陥などに焦点を当てることによって,トンデモ統計のからくりについて説明している。

この本で主な批判の対象となっているのは,アメリカによくある社会統計の類だ。例えば「毎年15万人の女性が拒食症で死んでいる」だとか,「自殺するティーンエイジャーの3分の1が同性愛者」だとか,そういった驚くべきでたらめな統計が,日々どこかで生み出されている。それらの統計がどのようにして生み出されるのか,そして,そのような統計がどうして人々に受け入れられ一人歩きを続けてしまうのか,その仕組みについて実例を交えつつ丁寧に解説する。

数学的に高度な話題や,新鮮な知見などが登場する本ではないため,そういった要素を期待している人にはお勧めできない。それよりも,統計を疑うという考えをあまり持ったことの無い人にこそ勧めたい入門書だと思う。