CEDEC 2010 二日目

今年のCEDECは興味のあるセッションが重なってしまっていて、どれを受講しようか迷うことがある。会社に所属していれば同僚と分散して受講するという作戦も取りうるのだけれど、単身での参加の場合はそうもいかない。事前情報だけから内容を想像して出席を決めるというのは、もはやバクチに近いものがある。

株式会社ポケモンの石原さんらによる「人を楽しませるプロデュース」は、ポケモンドラクエという業界トップIPにおける戦略の対比から、巨大IPのプロデュースのありかたについて知る、というような内容になっていた。ただ、全体的にポケモンの方が話題の中心になっていたように思われる。「株式会社ポケモンがあるからできること」「株式会社ドラクエが無いからできないこと」という意見が石原さんの口から語られるとき、それは圧倒的な説得力を持つように感じられた。

大塚康生さんと上田文人さんの対談は、単に大塚さんの講演としてみた場合に、とても面白いものだった。ただ残念ながら、対談として話が噛み合っているとは思えなかった。これは対談形式にするよりも、大塚さんにひたすら喋ってもらうというスタイルにした方が良かったんじゃないかなと思う。

この手のパネルトークは話題が様々な方向に飛んでいくため、単なる文字起こしではないレポートにまとめることは、なかなか難しい。もし会社からレポートの提出を義務付けられているならば、パネルトークよりも普通のセッションに参加した方が賢明かもしれない。パネルトークは聞いて楽しめるものであることが多いので、個人的には嫌いではないのだけれど……

任天堂の小泉さんによる「スーパーマリオギャラクシーを作る。」では、スーパーマリオギャラクシーにおけるユニークなゲームデザインが生まれた経緯について、とても丁寧な解説を展開していた。それらのデザインはすべて、過去作における困難を克服するための施策だった、というのはとても興味深い話だ。ここまで徹底的にゲームデザインを中心に据えた制作スタイルというのも、もはや珍しいものかもしれない。何かにつけて多くの要素を背負い込みがちな昨今の制作現場において、その徹底ぶりは羨ましくも感じられる。

さあ、明日は最終日だ。明日は基調講演から参加しようと思う。